1. はじめに

「生前贈与で相続税を節税したい!」
「毎年110万円以内なら贈与税がかからないって本当?」

相続税対策として 「生前贈与」 はとても有効ですが、やり方を間違えると税務調査で否認されるリスクがある ことをご存じですか?
税務署は 「名義預金」「定期贈与」「実態のない贈与」 などを重点的にチェックしています。

今回は、生前贈与でやってはいけないことと、税務調査で狙われるポイントを詳しく解説 します!


2. 生前贈与でやってはいけないNG行動

税務署が特に厳しくチェックするのは、以下の5つです。

① 名義だけの贈与(名義預金)
② 贈与契約書を作らない(証拠がない)
③ もらった人が贈与を認識していない
④ 毎年同じ金額を贈与(定期贈与とみなされる)
⑤ 生活費・教育費の贈与を相続税対策と考える


3. 生前贈与のNG行動と具体的な事例

📌 ケース1:「子ども名義の預金が税務調査で否認された!」

🔹 状況

  • 80歳の父が毎年110万円ずつ、長男名義の口座に振り込み
  • しかし、長男はそのお金を一度も引き出したことがない
  • 税務調査で「これは父の財産では?」と指摘される

🔹 問題点

  • 子どもが通帳や印鑑を管理していなかった
  • 実際には親が自由に使える状態だった

対策
贈与後は、もらった人が自由に使える状態にする
通帳・印鑑は子どもが管理する
贈与契約書を作成し、証拠を残す


📌 ケース2:「毎年100万円ずつ贈与していたら、定期贈与と判断された!」

🔹 状況

  • 父が毎年100万円ずつ、20年間にわたって子どもに贈与
  • しかし、税務調査で「これは単発の贈与ではなく、20年間で2,000万円を贈与する計画だったのでは?」と指摘される

🔹 問題点

  • 「毎年110万円以内の贈与なら非課税」と思われがちだが、
    毎年同じ金額を一定期間続けると「定期贈与」として課税対象になる

対策
贈与額を毎年変える(例:今年100万円、来年80万円、次の年120万円など)
毎年、贈与契約書を作成する
「〇年間に〇万円を贈与する」という約束はしない


📌 ケース3:「孫の学費を払っていたら、相続財産に加算された!」

🔹 状況

  • 祖父が孫の大学の学費(年間200万円)を負担
  • そのまま相続発生後、税務調査で「このお金は贈与ではなく、祖父の財産のままだった」と判断される

🔹 問題点

  • 生活費や教育資金は「必要な時に都度支払う場合」 は贈与税がかからないが、
    一括で渡した場合は贈与とみなされ、贈与税の対象になる

対策
学費は「その都度」支払う(まとめて贈与しない)
教育資金贈与の非課税制度を活用する(1,500万円まで非課税)


4. 生前贈与が税務調査で狙われるタイミング

「税務署は、どんな時に税務調査をするのか?」

🔹 税務調査が入りやすいケース相続財産が5,000万円以上ある
名義預金が疑われるケース(親の口座から毎年一定額が移動)
生前贈与の記録がないのに、相続財産が大幅に減少している

🔹 税務調査の時期相続税の申告後、1~3年以内に実施されることが多い
特に、遺産総額が大きい家庭は調査の対象になりやすい


5. 正しく生前贈与をするためのポイント

贈与契約書を作成し、書面で証拠を残す
贈与後、もらった人(子ども)が管理することを明確にする
毎年の贈与額を変え、定期贈与とみなされないようにする
銀行振込で贈与し、通帳記録を残す
生前贈与の加算期間(3年→7年)を考慮して計画を立てる


6. まとめ

生前贈与は正しく活用すれば、相続税の節税に非常に有効ですが、
税務調査で指摘されると、結果的に「相続税が余計にかかる」ことになります。

税務調査で指摘されやすいポイント

  • 名義だけの贈与(実質的に親が管理)
  • 毎年同じ金額を贈与(定期贈与と判断される)
  • 生活費や教育資金をまとめて贈与

生前贈与を成功させるためのポイント

  • 贈与契約書を作成する
  • 贈与後、子どもが管理できる状態にする
  • 生前贈与の加算期間(7年)を考慮して対策を立てる

「生前贈与を考えているけど、どう進めればいいか分からない…」
そんな方は、専門家に相談することをおすすめします!
※当事務所では相続(資産税)に強い税理士と提携しております。具体的な税務のアドバイスは税理士が行います。