1. はじめに
「相続対策は早く始めたほうがいい?」
「まだ元気なのに準備するのは失礼じゃない?」
相続対策は早く始めるべきか、それとも慎重にタイミングを見極めるべきか、悩む方も多いのではないでしょうか?
実は、相続対策は早すぎても遅すぎても問題が起こる可能性があります。
早すぎると税制改正で損をすることもありますし、遅すぎると認知症になってしまい対策が打てなくなることも…。
本記事では、相続対策のベストなタイミングと、早く始めるべき人の特徴について解説します。
2. 相続対策の基本と3つのステップ
相続対策と一言でいっても、実は 3つの段階 があります。
この流れを理解しておけば、「いつ何をすべきか」が明確になります。
🔹 【相続対策の3ステップ】
① 財産の把握(60歳前後から)
➡ 財産がいくらあるのか、何を相続するのかを明確にする
- 預貯金
- 不動産
- 株式や投資信託
- 生命保険
- 負債(ローンなど)
➡ 具体的にやるべきこと
✅ 財産目録(資産一覧)を作る
✅ 家族に伝えるか検討する
② 相続税対策(65歳~70歳)
➡ 税金対策を考える
- 生前贈与を始めるか?
- 不動産の活用をするか?
- 生命保険を活用するか?
➡ 具体的にやるべきこと
✅ 小規模宅地の特例や生前贈与を検討
✅ 遺言書の作成を始める
③ 争族対策(70歳以上~)
➡ 家族間のトラブルを防ぐための準備
- 遺言書を正式に作成
- 家族会議で相続の意思を伝える
- 認知症対策(家族信託や成年後見制度)
➡ 具体的にやるべきこと
✅ 遺言書の公正証書化
✅ 家族信託の契約を検討
3. 相続対策が「早すぎる」と損するケース
相続対策を早く始めすぎると、かえって不利益を受けることがあります。
「早すぎると損するケース」をいくつか紹介します。
📌 ケース1:「生前贈与の加算期間が変わった!」
🔹 状況
- 2023年に親が子へ「毎年110万円の生前贈与」を開始
- 2024年の税制改正で、生前贈与の加算期間が 3年→7年 に延長
- 2029年に親が亡くなり、それまでの贈与が相続財産に加算
🔹 問題点
- 贈与したはずの財産が結局相続税の対象になった
- 2025年の税制改正を待って対策を立てればよかった
➡ 対策
✅ 税制改正をチェックしてから贈与をスタートする
📌 ケース2:「生前贈与で生活資金が足りなくなった!」
🔹 状況
- 60歳の時点で子どもに自宅を生前贈与
- 70代になって介護施設に入居することに
- 施設の入居費用が足りなくなり、自宅を売却しようとするも、すでに子ども名義になっていた
🔹 問題点
- 財産を渡しすぎて、自分の生活資金が不足
- 生前贈与すると自分の意思で財産を処分できなくなる
➡ 対策
✅ 生活資金を確保してから相続対策を進める
4. 相続対策が「遅すぎる」とトラブルになるケース
一方で、「相続対策をしないまま放置していた結果、大変なことになった」というケースもあります。
📌 ケース3:「認知症になって遺言が作れない!」
🔹 状況
- 75歳のときに遺言書を作ろうとしたが、すでに認知症の症状が進行
- 公正証書遺言の作成を断られる
- 家族が後から「こんなはずじゃなかった」とトラブルに
🔹 問題点
- 認知症になると遺言書を作れなくなる
- 家族信託の契約もできなくなる
➡ 対策
✅ 遺言書は70歳までに作成するのが理想!
✅ 認知症対策として家族信託を活用する
📌 ケース4:「家族で相続トラブルに!」
🔹 状況
- 親が「相続なんて考えなくていい」と放置
- 親の死後、兄弟が遺産の分け方で揉める
- 裁判沙汰になり、兄弟関係が破綻
🔹 問題点
- 遺言書がないと相続人全員の同意が必要
- 遺産分割協議がこじれると長期化する
➡ 対策
✅ 「うちは揉めない」と思わず、早めに遺言書を作成
5. 相続対策を始めるベストなタイミングは?
相続対策をいつ始めるかは、ケースバイケースですが、目安として以下のようなタイミングが理想です。
年齢 | やるべきこと |
---|---|
60歳 | 財産の棚卸し・リスト化 |
65歳 | 相続税対策(生命保険・生前贈与の検討) |
70歳 | 遺言書の作成・家族会議 |
75歳以降 | 認知症対策(家族信託・後見制度) |
6. まとめ
相続対策は「早すぎても損」「遅すぎるとトラブル」になる可能性があります。
ベストなタイミングで、適切な準備を進めることが重要です。
✅ 早すぎると損するケース
- 税制改正の影響を受ける
- 生活資金が不足する
✅ 遅すぎるとトラブルになるケース
- 認知症になって遺言書を作れない
- 家族が相続でもめる
「何から始めればいいかわからない…」という方は、まず財産の棚卸しから始めてみましょう!
相続対策についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール

最新の投稿
コラム2025.03.06遺産分割協議書とは?作成のポイントと注意点
コラム2025.03.05配偶者居住権とは?相続で配偶者が安心して住み続けるための制度
コラム2025.03.04相続人同士のトラブルを防ぐための話し合いのコツ
コラム2025.03.03不動産を共有名義で相続するリスクと解決策