1. はじめに

「うちは仲がいいから、相続で揉めることはない」
そう思っていませんか?

実際には、相続争い(=争族)は、遺産が少ない家庭ほど発生しやすいと言われています。
遺産が少ないからこそ、「不公平感」や「感情のもつれ」が大きくなり、兄弟姉妹が絶縁状態になることも…。

こうしたトラブルを防ぐためには、生前に家族でしっかり話し合っておくことが重要です。
しかし、相続の話を切り出すのは簡単ではありませんよね。

今回は、争族を防ぐための家族会議の開き方と進め方について詳しく解説します。


2. なぜ家族会議が必要なのか?

家族会議を開く最大の目的は、相続トラブルを未然に防ぐことです。

🔹 家族会議を開かないと起こるトラブル

  • 「財産をどのように分けるか」で揉める
  • 「親が本当に望んでいた相続は何か」が分からない
  • 遺言書がないことで、遺産分割協議が長引く
  • 介護をした子どもと、してこなかった子どもで不満が生じる

特に、相続財産の中に 不動産(自宅・アパートなど)がある場合は、分割が難しくトラブルになりやすい ため、家族会議で方向性を決めておくことが重要です。


3. 家族会議を開くタイミングは?

家族会議は、「相続が発生する前」に行うことが大前提です。

📌 おすすめのタイミング
親が60代~70代になったとき(元気なうちに話し合う)
遺言書を作る前後(意思を確認し、トラブルを防ぐ)
財産整理や相続対策を始めるとき

「親が元気なうちは相続の話をするのは失礼では?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、親が判断能力を失ってしまってからでは、話し合いができなくなってしまうため、早めに準備を始めることが重要です。


4. 家族会議の進め方(5つのステップ)

家族会議は、話し合いがスムーズに進むように準備することが大切です。
次の 5つのステップ に沿って進めていきましょう。

ステップ①:参加者を決める

🔹 参加者のポイント

  • 親(財産の所有者) → 本人の意思を確認することが重要
  • 相続人(子ども、孫、兄弟姉妹など) → 財産を受け継ぐ人
  • 配偶者(母 or 父) → 遺産分割に影響を与える可能性がある
  • 必要に応じて専門家(行政書士・税理士・司法書士・弁護士等)

💡 避けたほうがいいこと
❌ 相続に関係のない親戚を呼ぶ(意見が増えて混乱する)
❌ 家族の中で意見が割れているときに急に会議を開く


ステップ②:話し合うテーマを整理する

家族会議で話すべき主なテーマは以下の5つです。

テーマ話し合う内容
財産の把握どんな財産があるのか?(不動産、預貯金、株式など)
相続税対策相続税がかかるか?どのような節税対策をするか?
遺言書の作成遺言書を作るべきか?内容はどうするか?
不動産の扱い自宅や賃貸物件をどうするか?
介護と老後資金誰が親の介護をするのか?費用はどう負担するか?

📌 例えば…

  • 「この家を誰が引き継ぐのか?」
  • 「長男が同居するなら、他の兄弟の取り分はどうするか?」
  • 「財産を分割しにくい場合、どのように公平性を確保するか?」

ステップ③:親の意思を確認する

相続で一番大切なのは 「親の意向を尊重すること」 です。

📌 親に確認すべきこと
遺産をどのように分けたいか?
特定の人に多くの財産を残したいか?
自宅や土地をどうするか?
介護や老後の希望はあるか?

家族間で意見が割れることがあっても、親の希望を最優先に考えることで、争族のリスクを減らすことができます。


ステップ④:具体的な分割方法を決める

家族会議では、財産の分け方について 「誰が」「何を」相続するのか? を具体的に決めていきます。

📌 財産の分け方の例
長男が自宅を相続する代わりに、次男に預貯金を多めに渡す
土地を兄弟で共有名義にするか、売却して現金で分けるか決める
生命保険を活用して、相続人全員に公平に分配する

不動産のように分けにくい財産がある場合は、代償分割(不動産を相続した人が、他の相続人に金銭を支払う方法) なども検討しましょう。


ステップ⑤:遺言書の作成・相続対策を実行する

話し合いで決まった内容を、「遺言書」や「家族信託」などの法的手続きに落とし込むことが重要です。

遺言書を作成する(公正証書遺言がベスト)
生命保険や贈与を活用して、相続対策を進める
不動産の名義変更を検討する
家族信託を活用して、将来の管理をスムーズにする


6. まとめ

家族会議を開くことで、相続トラブルを未然に防ぎ、家族の絆を守ることができます。

家族会議を開くべきタイミング

  • 親が60代~70代になったとき
  • 相続税対策を考え始めたとき
  • 親の介護が必要になったとき

家族会議の進め方(5ステップ)
1️⃣ 参加者を決める(親、相続人、必要に応じて専門家)
2️⃣ 話し合うテーマを整理する(財産、遺言、税金、不動産など)
3️⃣ 親の意思を確認する
4️⃣ 具体的な分割方法を決める
5️⃣ 遺言書の作成・相続対策を実行する

「家族会議をどう進めればいいか分からない…」
そんな方は、専門家に相談することでスムーズに進めることができます。

まずは一度、ご家族で話し合ってみませんか?