1. はじめに

「相続税を節税するために生前贈与を活用したい」
「でも、税務調査で指摘されて無効になるケースもあるって本当?」

生前贈与は、相続税対策として非常に有効な手段ですが、やり方を間違えると、税務調査で「贈与とは認められない」と判断され、結局相続税がかかってしまうことがあります。

特に2024年の税制改正で「生前贈与の加算期間が3年→7年に延長」されるため、これまで以上に注意が必要です。

今回は、生前贈与でやってはいけないNG行動と、税務調査で狙われやすいポイントを詳しく解説します。


2. 生前贈与でやってはいけないNG行動

🔹 【要注意!税務調査で指摘される5つのNG行動】
✅ ① 名義だけの贈与(実質的に親が管理している)
✅ ② 書面を残さない(贈与契約書なし)
✅ ③ 生活費・教育資金の贈与を相続税対策として計上
✅ ④ もらった本人が贈与を認識していない
✅ ⑤ 毎年同じ金額を贈与(定期贈与とみなされる)


3. 生前贈与のNG行動と具体的な事例

📌 ケース1:「子ども名義の預金が税務調査で否認された!」

🔹 状況

  • 80歳の父が毎年110万円ずつ、20年間にわたって長男の口座に入金
  • しかし、長男はそのお金を一度も引き出したことがない
  • 税務調査で「これは父の財産では?」と指摘される

🔹 問題点

  • 実際には長男が自由に使えず、父が管理していたため「名義預金」と判断
  • 結果として、生前贈与と認められず、相続財産に加算され相続税が課税

対策
贈与後は、もらった人が自由に使える状態にする
通帳・印鑑は子どもが管理する
贈与契約書を作成し、証拠を残す


📌 ケース2:「毎年100万円ずつ贈与していたら、定期贈与と判断された!」

🔹 状況

  • 父が毎年100万円ずつ、20年間にわたって子どもに贈与
  • しかし、税務調査で「これは単発の贈与ではなく、20年間で2,000万円を贈与する計画だったのでは?」と指摘される

🔹 問題点

  • 「毎年110万円以内の贈与なら非課税」と思われがちだが、毎年同じ金額を一定期間続けると「定期贈与」として課税対象になる
  • 結果として、贈与税が課税され、相続財産にも加算

対策
贈与額を毎年変える(例:今年100万円、来年80万円、次の年120万円など)
毎年、贈与契約書を作成する
「〇年間に〇万円を贈与する」という約束はしない


📌 ケース3:「孫の学費を払っていたら、相続財産に加算された!」

🔹 状況

  • 祖父が孫の大学の学費(年間200万円)を負担
  • そのまま相続発生後、税務調査で「このお金は贈与ではなく、祖父の財産のままだった」と判断される

🔹 問題点

  • 生活費や教育資金は**「必要な時に都度支払う場合」** は贈与税がかからないが、
    一括で渡した場合は贈与とみなされ、贈与税の対象になる
  • 例えば、孫の学費として「500万円を一括で贈与」すると、贈与税がかかる

対策
学費は「その都度」支払う(まとめて贈与しない)
教育資金贈与の非課税制度を活用する(1,500万円まで非課税)


4. 生前贈与が税務調査で狙われるタイミング

「税務署は、どんな時に税務調査をするのか?」

🔹 税務調査が入りやすいケース
✅ 相続財産が5,000万円以上ある
✅ 名義預金が疑われるケース(親の口座から毎年一定額が移動)
✅ 生前贈与の記録がないのに、相続財産が大幅に減少している

🔹 税務調査の時期
相続税の申告後、1~3年以内に実施されることが多い
特に、遺産総額が大きい家庭は調査の対象になりやすい


5. 正しく生前贈与をするためのポイント

贈与契約書を作成し、書面で証拠を残す
贈与後、もらった人(子ども)が管理することを明確にする
毎年の贈与額を変え、定期贈与とみなされないようにする
銀行振込で贈与し、通帳記録を残す
生前贈与の加算期間(3年→7年)を考慮して計画を立てる


6. まとめ

生前贈与は正しく活用すれば、相続税の節税に非常に有効ですが、税務調査で指摘されると、結果的に「相続税が余計にかかる」ことになります。

税務調査で指摘されやすいポイント

  • 名義だけの贈与(実質的に親が管理)
  • 毎年同じ金額を贈与(定期贈与と判断される)
  • 生活費や教育資金をまとめて贈与

生前贈与を成功させるためのポイント

  • 贈与契約書を作成する
  • 贈与後、子どもが管理できる状態にする
  • 生前贈与の加算期間(7年)を考慮して対策を立てる

「生前贈与を考えているけど、どう進めればいいか分からない…」
そんな方は、専門家に相談することをおすすめします!
弊所でも相続に強い税理士と提携していますのでご紹介できます。